ピロリ菌の検査・除菌治療

ピロリ菌外来

ピロリ菌当クリニックでは、ピロリ菌感染の検査・除菌治療を専門的に行なっております。胃カメラを行い、ピロリ菌の感染があると判定された方は、1次除菌治療と、それが失敗した場合の2次除菌治療は保険適応となります。
院長は日本ヘリコバクター学会のピロリ菌感染症認定医であり、除菌治療を熟知しております。ペニシリンアレルギーの方や2次除菌治療まで失敗するなど、他院で除菌ができないと言われた方も、当院ではペニシリンを使わない除菌治療や、3次除菌治療を行っておりますので、ぜひご相談ください。

ピロリ菌に感染すると何が起きるのでしょうか?

ピロリ菌が胃の粘膜に感染すると、ピロリ菌は胃の細胞内に毒素を注入します(CagAという因子です)。ピロリ菌の感染した胃粘膜には炎症が生じ(Cag Aを注入された胃粘膜の細胞が、IL8という炎症細胞を呼ぶインターロイキンを発生させます。このIL8によって好中球が胃粘膜に集まるのが、ピロリ菌による炎症です)、胃痛や胃潰瘍が引き起こされます。また、「ピロリ菌の感染⇒胃炎⇒胃の粘膜が腸の粘膜のように変化する(腸上皮化生)⇒胃がん」というルート(Correaの経路と言われています)で、胃がんのリスクが上昇します。
ピロリ菌に感染していても、症状がなく胃の炎症が進行していくケースが多く、ピロリ菌感染の有無を調べるには検査が必要です。

ピロリ菌の感染経路

どこからピロリ菌に感染するのか、完全には解明されていませんが、5歳くらいまでの幼少期に、井戸水や、家族から感染すると考えられています。大人になってからピロリ菌に感染することはあまりないようです。
我が国においては、上下水道の整備や、親の世代の感染率が低下したこと、ピロリ菌の除菌療法が確立したことによって、ピロリ菌の感染率は徐々に低下傾向にはありますが、それでもまだ特に40歳代以上を中心に感染者は多いとされています。若年層の感染も珍しくありません。
一度ピロリ菌に感染すると、除菌されないかぎり、胃の炎症が進んでピロリ菌が生息できない状態になるまで感染し続けます。

ピロリ菌感染の症状

空腹時の胃痛、食後の腹痛、食欲不振、胃の不快感、胃もたれなどの胃の症状を繰り返すような場合は、ピロリ菌感染の可能性があります。強い腹痛と黒い便(黒色便)を伴う場合には、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の可能性が高いので、至急ご相談ください。
ただし、ピロリ菌感染により胃炎が進行しても無症状の方も多くいらっしゃいます。

ピロリ菌によって起きる病気

以下のような病気がピロリ菌感染と関連しています。

  • 慢性胃炎(萎縮性胃炎)
  • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍
  • 胃がん
  • 胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、胃ポリープ 、機能性胃腸症(機能性ディスペプシア、FD)など

ピロリ菌を除菌することで、胃がんの発がんが抑えられるということが最も重要です。除菌により胃炎の進行が抑えられるので、胃がんの発癌も抑えられ、胃潰瘍・十二指腸潰瘍についてはほとんどおこらなくなります。また、ピロリ菌の感染があって、胃の不快な症状がある場合には、症状の改善のために一番最初に行うべきは除菌治療であるとされています。

ヘリコバクター・ピロリ菌検査

ヘリコバクター・ピロリ菌検査には、確定診断ができる胃内視鏡検査による組織採取で行うものと、血液などを採取してリスクを知るためのスクリーニング検査があります。除菌治療を保険診療で受ける場合には、胃内視鏡検査が不可欠です。

ピロリ菌の感染の有無は、経験のある内視鏡専門医が胃カメラを行えば、見た目でおおむね判定できます。ただし、見た目の診断では必ずしも確定できないので、ウレアーゼテストや血液中のピロリ菌の抗体を検査する方法、尿素呼気テストなどを行い、感染の有無を確定します。

当院では、胃カメラの際にその場でピロリ菌の有無を判定できる「ウレアーゼテスト」を行っております。その日のうちにピロリ菌の感染が分かり、除菌治療薬の処方までその日のうちにできますので、お忙しい方、早めに除菌治療を行いたい方にご好評をいただいております。

内視鏡検査

内視鏡検査時に採取した組織をその場で試薬につけて判定するウレアーゼテスト、病理検査に提出し染色をして顕微鏡で確認する鏡検法(HE染色、ギムザ染色)、組織を培地に入れてピロリ菌の増殖の有無を確認する培養法があります。

スクリーニング検査

血液や尿を採取して抗体を測定する抗体法、便を採取して抗原を測定する抗原法があります。
胃炎の確定診断には、別途、内視鏡検査が必要です。

除菌治療の流れ

内視鏡検査でヘリコバクター・ピロリ菌感染を確認し、除菌治療を行います。
1週間の間、胃薬1種類、抗生物質2種類の合わせて3種類のお薬を朝晩2回7日間の計14回内服することで、90%の方は除菌に成功します。

Step1
除菌薬を1週間内服します(一般にはボノサップという薬のセット、抗生剤2種類と、胃酸分泌抑制薬1種類を朝夕2回)。除菌中には禁煙した方が成功率が高くなるという報告があり、喫煙されている方はこの機会に禁煙をお勧めします。
Step2
服用後、一定の期間を置いてから検査を行うことで、除菌の成功を正確に判断することができます。
当院では服用の1ヶ月後以降に便(便中ピロリ抗原)または尿素呼気テスト(息を調べる検査で、食後は避けていただき、試薬の服用前後で息を吐いていただくので、20-30分かかる検査です)による判定を行います。この判定検査で除菌が成功していれば、除菌治療は終了です(1度いなくなったピロリ菌が再びでてくることや、成人の方が再びピロリ菌に感染することは、ほぼありません)。
Step3
1回目の除菌治療が失敗した場合、2回目の治療も保険適用で受けられます。抗生剤のクラリスをメトロニダゾール(商品名:フラジール)に変更して2回目の治療を行います。服用の期間や判定検査に関しては1回目と同様です。2次除菌のフラジールはアルコールと相性がよくありませんので、2次除菌中は1週間禁酒です(1次除菌中は必ずしも禁酒の必要はありません)。
なお、2回目の治療でも除菌されなかった方に対して、3回目の除菌治療も行なっております(3次除菌は保険適用されないため自費治療)。

ペニシリンアレルギーの方の除菌・3次除菌

他院で除菌ができないといわれる方は、主にペニシリンアレルギーの方と2回目の除菌治療でも失敗した方です。
当クリニックでは、ピロリ菌の専門外来で、そのような方にも除菌治療を行うことができますので、ぜひご相談ください。

除菌治療で起こる可能性がある副作用

抗生剤を用いた治療なので、下痢をすることがあります。胃酸分泌抑制薬を服用しますが、逆流性食道炎のような症状が現れることもあります。また、頻度はわずかですが口内炎や味覚異常、不整脈などが起こることもあります。内服終了後にはこうした症状が自然に改善していきますので、心配ありません。
ご注意いただきたいのは、服用中に、蕁麻疹、息苦しさ、喘息、血便などの強い副作用が現れた場合です。こうした症状が現れたら、すぐに服薬を中止してご連絡ください。

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